バイオフィルムの影響は?
バイオフィルムには唾液中と比較すると、非常に高濃度で菌が存在しています。また、バイオフィルム中は酸素濃度が薄い嫌気的な環境であり、嫌気性細菌(生育に酸素を必要としない細菌)が多く含まれます。口腔における病原性細菌の多くは嫌気性細菌であり、バイオフィルムによってこうした病原性細菌に好ましい環境が形成されてしまいます。
さまざまなお口の悩みは、口腔中に生息する細菌によって発生することが知られています。特に細菌が歯や粘膜の表面に形成するバイオフィルム(デンタルプラーク)は、毒性が高く、オーラルケアにおける最大の障害となっています。ミルテクトは、バイオフィルム形成を抑制することで、多くの口腔疾患の予防に働きます。
バイオフィルムは、内部に細菌及びその代謝物である多糖類を含む巨大なコロニーです。細菌感染症のおよそ80%がバイオフィルム性疾患とも言われています。口腔内においても、口腔細菌により形成されるバイオフィルム(別名:デンタルプラーク、歯垢)は、う蝕(虫歯)、歯周病、口臭、色素沈着など様々な疾患の原因であることが知られています。
バイオフィルムには唾液中と比較すると、非常に高濃度で菌が存在しています。また、バイオフィルム中は酸素濃度が薄い嫌気的な環境であり、嫌気性細菌(生育に酸素を必要としない細菌)が多く含まれます。口腔における病原性細菌の多くは嫌気性細菌であり、バイオフィルムによってこうした病原性細菌に好ましい環境が形成されてしまいます。
バイオフィルム感染症の対策を困難にしている要因のひとつは、バイオフィルムが抗菌剤や免疫細胞に対する強い抵抗性がある点です。バイオフィルムには、細菌によって生産された多糖類により高度なネットワークが形成されており、イオン性抗菌剤の浸透を阻みます。
また、歯磨きなどによるブラッシングで、物理的にバイオフィルムを除去することは可能ですが、歯間や歯周ポケットなど磨きにくい部分のバイオフィルムは除去しにくいと云われています。
バイオフィルムは、複数の菌によって以下のように形成されると云われています。
1.初期付着菌(Streptococcus属など)が歯や粘膜の表面に付着する。
2.付着した初期付着菌により基礎バイオフィルムが形成する。
3.基礎バイオフィルムに対して、後期付着菌(P.gingivalisなど)が付着する。
4.バイオフィルム中の菌が増殖を繰り返し巨大なバイオフィルムに成長する。
3の後期付着菌のグループには歯周病の原因菌が多く含まれており、これらの菌がバイオフィルムに組み込まれることは、重大な口腔疾患の原因となります。
ミルテクトには下図のように、菌の初期付着を抑制する作用が確認されています。つまり、ミルテクとトは、口腔細菌の付着を抑制することでバイオフィルム形成を抑制します。
ミルテクトの抗バイオフィルム作用を確かめるために、マイクロプレートを使用した初期付着菌の付着抑制試験を行いました。その結果、CPCなどの抗菌剤を使用した方法と比較して、より高い菌付着抑制作用が確認されました。
ミルテクトは、CPCなどの抗菌剤と混合して使用することで、そのバイオフィルム抑制作用を大幅に増強させることが可能です。
ミルテクトは、抗菌剤と混合して使用することで、そのバイオフィルム抑制作用を大幅に増強させることが可能です。
口臭は、口腔バイオフィルムに存在する細菌が食品中のアミノ酸を代謝することにより発生するVSC(揮発性硫黄化合物)が原因となります。
最も汎用されるのは、香料を用いた悪臭成分のマスキングですが、根本的な解決にはなりません。また、臭いを除去するアプローチは、VSCの嗅覚閾値が非常に低濃度であるため、効果的ではありません。そのため、口臭の対策には口腔環境を整えることが重要と考えられます。
ミルテクトは、口腔細菌の歯面への吸着を抑制することで、結果的に細菌の代謝により発生する悪臭成分VSCを抑制します。ミルテクトをあらかじめコートしたプレートでは、口腔細菌によるシステイン由来VSCの発生が抑制されました。
歯の着色は、歯面に存在する菌あるいは唾液由来のタンパク質と食品中のポリフェノール類、たばこのヤニのような脂溶性物質が複合体を形成し、不溶性の強固なステインを形成することが原因となります。
歯面でステイン複合体の元となるタンパク質汚れの除去が有効で、バイオフィルムを抑制することにより、結果として色素沈着を抑制することが可能です。
歯の主成分であるヒドロキシアパタイトの粒子を用いて、色素沈着の評価を行いました。菌の吸着により色素沈着が促進され、アパタイト粒子の着色が強くなりますが、ミルテクトによりあらかじめコーティングされたアパタイト粒子では、色素沈着は抑制されています。
バイオフィルムは天然の歯だけではなく、人工物である義歯やマウスピース、矯正器具、ハブラシなどの樹脂製の部材にも形成されます。
ハブラシに付着した菌は、乾燥によってある程度減少しますが、乾燥しにくいブラシ根元の部分には、バイオフィルムが形成されてしまうことが報告されています。
市販の歯ブラシにミルテクト・CPCで処理し、口腔細菌液に浸すことでバイオフィルムを形成させました。歯ブラシに吸着した細菌を染色したところ、あらかじめミルテクト処理した歯ブラシではバイオフィルムの形成が抑制されました。